ペン太のこと

片倉真二の「ペン太のこと」は、計八コマから作られる猫エッセイの漫画です。作者さんとその奥さんが飼っていた計5匹の猫との出来事を、一番最初に家族となったペン太を中心に描いています。日常的な部分は、猫の可愛さ、猫の面倒くささなんかも描かれていて、猫を飼っていれば共感をする部分もたくさんありますし、猫を飼っていない人ならば、猫ってこんな感じなんだ、と分かってくると思います。私の場合は後者で、猫は愛らしくて私たちの生活を愛くるしさで彩ってはくれるけれども、飼うことの大変さがどんどんと伝わってきました。

ただ、この作品を読んでいて感じたのは、実は猫にだってかなりの個性があるということなんだな、ということです。猫って大体みんな自分勝手で、人間に従おうだなんてするつもりはなく、人間なんて手下かなんかだと思っているもので、可愛い動物という認識を持っていたのですが、この作品で描かれている猫ちゃんたちはそんな猫ばっかりではありませんでした。のんびり屋で狩りもろくにできないペン太は、作者さんに褒めてもらうことが大好きな子、ポン太はやんちゃで甘えん坊、キン太は一番騒々しくって他の猫ちゃんのご飯を食べてしまうようないたずらっ子、はむやんは臭いに敏感できれい好きなのに、変な行動ばっかりしちゃう子、はたけは優雅な猫の種類なのに、臆病者でダンボールが大好き、とそれぞれの個性が際立っています。

そんな猫ちゃんたちの日常に癒されるばかりではありません。最初に飼って、本物の子供のように愛情を注いで一緒に過ごしてきたペン太が病気になって亡くなってしまったエピソードは、どこをとっても涙なしでは読むことはできませんでした。どれだけ愛情を注いでも、これ以上は生きられなかったペン太。ペン太に対する想いや、それまでに過ごしてきた数々のエピソードが、所狭しと描かれていて、暖かい気持ちに満たされたように感じました。

感動エピソードもたくさんありますが、それ以上にあるのが、日常的な猫たちの面白い生態です。まだまだ他の猫ちゃんたちは生きており、エピソードは追加されていきますが、いつかその子達とも別れがくるのだろうな、と思うと読者である自分も胸が詰まります。でも、そんな猫たちが生きている様を面白おかしく描いているこの作品を読んでいると、猫たちが生きていた記録が残されているようで、なんだかほっこりとしてしまいます。