フォアミセスで連載中の夢路行さんの「あの山越えて」という漫画が好きです。
主人公は、東京生まれ東京育ちの小学校の先生、東京のサラリーマンと結婚したはずが、夫は脱サラし、実家のある田舎に帰って農業をしています。
夫と一緒に移住した主人公が、姑や舅、近所の人たち、学校の同僚や生徒に囲まれて生活している様子が、ほのぼのと描かれています。
田舎であってもというべきか、田舎だからこそというべきか、人間関係にまつわる悩みや、もめ事はあります。
主人公は小学校の先生ですから、幼い心を痛めている子供の相談にのることも少なくありません。
連載が長くなると同時に、作中の登場人物たちも年を重ね、小学生だった主人公の教え子は、就職活動に悩む大学生となって再登場したりします。
その年月のなかで、悩みも変わり、「こんなことを言うようになったのね」と、しみじみする主人公がリアルです。
私が知っている現実の田舎暮らしと比較すれば、姑や舅、近所のおばちゃんたち、卒業していった生徒たちとの関係は、そんなに簡単ではない、うまくいきすぎ、と白けてしまう部分もあります。
しかし、やはり漫画ですから、現実のようにつらく、深刻なばかりでは、読んでても楽しくありません。
ちょっとした悩みはあるものの、なんとなく解決したような、解決してないような中途半端な気持ちのままで、それでも日々はのんびりと過ぎていく、生活をするって、そういうことなんだろうな、とこの漫画を読んでいると思います。