『火の鳥 鳳凰編』 手塚治虫

火の鳥シリーズで中でもっとも有名な代表作だと思います。

奈良時代の東大寺の仏像を製作している時が舞台で悪人の我王と善人の茜丸の運命が不思議に対比していく様を描かれています。

生まれつき片腕と片目がない我王は悪人として人生を送っていたのですが、速魚という女性に出会い、お互いに結ばれるのですが、ある日、速魚が自分を殺そうとしたんじゃないかと勘違いして速魚を殺めてしまうが、速魚の正体を知って後悔してしまった我王の人生は大きく変わってしまう。

鳳凰編には名誉欲で身を滅ぼす人が出ています。政治の権力争いで失脚する政治家にそして最初は純粋無垢に木彫をしていた主人公の一人である茜丸も都の名誉欲に溺れてしまい、純粋な気持ちで木彫を製作しなくなり、人が変わり、運命も大きく変わってしまう。

少年漫画に出てくる主人公は最後まで純粋でまっすぐな主人公ばかり見続けていた私には衝撃的でした。ですが、それが虚像でしかない主人公達よりもより現実的な人生を教えているんであり、現実に生きている私達の人生と結びついて火の鳥を読む度に深く考えさせられるんだと思います。

鳳凰編を読んで何がきっかけで運命が大きく変わるかもしれないと思いました。

あと、輪廻転生の話題が出てくる火の鳥は非常に仏教的な話だと思いますが、この話は宗教は政治利用される事を書かれています。それが、けして当時の政治家がそう考えていたとは限りませんが。

鳳凰編で描かれている政治家は仏教を政治利用しようとして奈良の大仏を作ろうとして、国民を救うハズの奈良の大仏が逆に大仏作りの労働の過労で国民を苦しませてしまう皮肉が込められていたのは考えさせられました。